2022年、初夏のとある日。
早朝に養蜂作業をしていると、「ミツバチ飼ってるの?」と声をかけられました。
振り返ると、スクーターにまたがった方が興味ありげに養蜂場を覗いています。
暑くなる前に作業を終えたいところですが、養蜂は近隣の住民の方の理解がないと続けられない仕事。一旦、作業の手を止め、世間話をしていると、「実は、村内でひまわりの栽培をしているんだけど、ひまわりからもはちみつって採れるの?採れるならひまわり畑に巣箱を置いてみない?」とのこと。
ひまわりからもはちみつは採れます。しかも、ひまわりのはちみつはとっても美味しくて、特にオーストリアのひまわりはちみつは、私の最も好きなはちみつの一つでした。
ミツバチは花の蜜を集めるだけでなく、受粉を行うことで実りを助ける生き物です。そして、このひまわり畑は、搾油用のひまわりです。ミツバチの巣箱を畑に置くことで、種の収穫を増やすことも期待できます。
何よりも、このように養蜂を通して地域の方との繋がりができることが、とっても嬉しいと考えていたので、さっそく、ひまわり畑に巣箱を置かせて頂くことになりました。
この声をかけてくれた方は「ひまわり油普及促進会」として、長生村の耕作放棄地や遊休地などを有効活用してひまわりを栽培し、村の景観を改善するとともに、ひまわり油を特産品にすることで、地域活性化をするという想いで取り組んでいるということです。
それは私たちが養蜂を通して実現したいことでもあり、ぜひ協力したいと思いました。
2022年には、2ヘクタール(サッカーコート約3面分)の土地でひまわりを栽培しているということでした。
しかし、村に移住して3年目でしたが、そんなにたくさんのひまわり畑があることも、長生村産のひまわり油があることも知りませんでした。
ひまわり油は、スーパーマーケットなどではあまり見かけない食用油です。
しかし、抗酸化作用のビタミンEがとても豊富です。また、ハイオレイック種のひまわり油はオレイン酸が多いので、さらに酸化もしにくく、健康にとても良い食用油です。
髪や皮膚にも良いので、ミツロウと合わせてクリームにしたり、ハーブの抽出油にしたり、養蜂とハーブの専門である私たちにも、とても相性の良い商品だと知りました。
そんなご縁で、この貴重な長生村のひまわり油の販売をさせて頂くことになりました。
このように、素晴らしい事業を10年後、20年後も続けていきたい、少しでも多くの耕作放棄地や遊休地で蜜源植物を増やしたい、という想いで、ひまわり油普及促進会の皆さんのご協力のもと、2023年から私たちもひまわりの栽培に挑戦することになりました。
梅雨が明けた6月の終わりに、種を撒きました。
不慣れな畑仕事。果たして、一面のひまわりの花が咲いてくれるのか、無事に搾油ができるだけのひまわりの種がとれるのか、新たな不安と期待とワクワクの始まりです。
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